
塩野七生畢竟の大作である。
文庫版で全43巻あり、読み応えは満点といえる。
これは、歴史書なのかフィクションなのかという
疑問があるが、紀元前からの物語を事実だけで
構成することは不可能であり、そこには想像や
作者の思い入れが反映されている。
特に、作者は「ハンニバル・バルカ」や
「ユリウス・カエサル」が大好きなようで、
ハンニバル戦争やルビコン越えの話では、
作者の高揚感に巻き込まれてしまうほどである。
ローマ帝国がどのようにして生まれ、滅びていったかを、
歴代の皇帝たちの生き方に寄り添いながら俯瞰することで、
「平家物語」の栄枯盛衰を、壮大なスケールで感じられるだろう。
ところで「ユリウス・カエサル」は大変な女好きだったそうで、
彼が凱旋してくるとローマ市民は、
「ハゲの女たらしが帰ってきた」と
女房や娘を隠したそうだ。
なるほど「英雄色を好む」とはここから来たのか。