市川春子「宝石の国」アフタヌーンKC

「宝石の国」は、特異な世界観を持つ。
「にんげん」が存在していた過去が「古代」と呼ばれる遠い未来、
六度の流星の飛来で「にんげん」が「魂」と「肉体」と「骨」に
分離したと伝えられる。

「魂」は、月に赴き「月人(つきじん)」となり、
「肉体」は、海洋にあって「アドミラビリス族」となり、
「骨」は、「宝石」になった。

「月人」は、装飾品にするために「宝石」を掠いに来る。
「宝石」たちは、武装して「月人」と対決するが、
幾人かは掠われて戻らない。

主人公の「フォスフォフィライト」は、美しい薄荷色をしているが
極めてもろく、すぐに割れてしまう弱点を持っている。
この物語は、彼(外観はほとんど女性だが)の成長と
「月人」が「宝石」たちを掠う理由の解明を中心に進んでいく。

鉱物であるため、粉々になっても再生可能な「宝石」であるが、
個々の特性による苦悩(例えば、ダイアモンドは硬いが割れやすい)
もあり、魅力的な物語になっている。

アニメ化もされ、美しい作画と音楽で楽しめた。
第2期を期待してしまう作品である。