
谷崎潤一郎を知らない人はいないだろう。
彼は大正・昭和を通して文壇に屹立し、
独自の世界を展開した。
文学史では、谷崎を耽美派というらしいが
それでは谷崎の一面しか見ていないことになる。
「細雪」や「春琴抄」が谷崎の代表作だと
思っている人には(事実代表作ではあるが)
もっと巨大な谷崎を見て欲しい。
いみぢくも三島由紀夫が「大谷崎」と称したように
その全体像は朦朧として離れればかすみ近づけば逃げる。
この叢書は谷崎の明治末年から昭和初年の期間の
中短編をテーマ別に編集したものである。
谷崎が日本においていかに希有の作家であるか
再認識できると思う。
一時期にまとめて読むことによって、
大谷崎のすばらしい文学に浸ってください。