
中上健次の小説の舞台は
和歌山県新宮市の被差別部落である。
「路地」という名を与えられたそこは、
様々な腐敗と暴力と憎悪が渦巻く
汚穢の土地でありながら、同時に
高貴で崇高な人間の土地となる。
きみは、きっと見るはずだ。
オリュウノオバの幻想を
アキユキの憎悪を
マダラの龍の悲しみを
ツヨシ(イーブ)のやさしさを
イクオの狂気を・・・。
さぁ、目をそらしてはいけない。
ここに小説がある。

中上健次の小説の舞台は
和歌山県新宮市の被差別部落である。
「路地」という名を与えられたそこは、
様々な腐敗と暴力と憎悪が渦巻く
汚穢の土地でありながら、同時に
高貴で崇高な人間の土地となる。
きみは、きっと見るはずだ。
オリュウノオバの幻想を
アキユキの憎悪を
マダラの龍の悲しみを
ツヨシ(イーブ)のやさしさを
イクオの狂気を・・・。
さぁ、目をそらしてはいけない。
ここに小説がある。

お姑(ばば)よい。
永えあいだ凍っていた空がようやく溶けて、
日の光が射して参りたるよ。・・・
ヌイよい。
残り雪の馬が現れるなら、男ン衆の表仕事の
季節がきたるなり。・・・
このような独特な方言での義母と嫁の対話体で
語られる物語である。
姥捨ての習慣で、捨てられてワラビとなり
死に往くお姑と他のワラビたちの生きる様は
滑稽で猥雑で悲しくてせつない・・。
村田喜代子の作品は、その高い評価と裏腹に
ほとんど文庫で読むことはできない。
それがどれほどの損失なのか、
この物語を読んでとくと考えてみて欲しい。

神々のいますところ
言霊のさきはふところ
日本の古代を舞台に壮大なファンタジーが
展開する。
作者が十数年の歳月をかけ、
結実させた物語に出会えたことに感謝しよう。
善と悪の、一見単純な対立の中から、
善と悪の彼方にある世界が浮かび上がる。
きみはいつしか登場人物たちの生き方に、
共感や嫌悪を抱きながらも
魅入られてゆくだろう。
さぁ、夜は長い。
長い物語をひもとこう。

リチャードがタイムスリップしてまで出会いたいと願う
女優エリーズ・マッケナ。
彼女には実在のモデルがある。
モード・アダムズ。
彼女は舞台女優なので、実際の演技を目にすることはできない。
J・M・バリの「小牧師」でスターになり、
「ピーターパン」を世界で初めて演じた女優。
今もピーターパンは女優が演じているが、
それはこのモード・アダムズから始まったのだ。
脳腫瘍で余命幾ばくもないリチャードの願いは叶えられるのか?
甘く切ないファンタジーをお楽しみください。
ちなみにこの作品は映画化されています。
作品が気に入ったら観るのもいいかもね。

十字軍は学校の教科書で習っただろう?
でも、そのときは当然西洋寄りの表現で記述されていたわけだ。
ところがこれは180度反対のアラブ側から見た十字軍なのだ。
驚いてしまうのは、当時のアラブが西洋よりも
文化的で、平等な世界を構築していたと言うことだ。
もちろん反対側から見ているわけだから、
それなりの偏見もあるだろう。
しかしわたしたちもこれまで偏見を持って見ていたわけだ。
当時のアラブ世界は、
内部抗争(国家間、王家内部)に明け暮れながら
キリスト教世界の侵略(十字軍)を受け、
さらにはモンゴルまでやってくるのだ。
なんという歴史のダイナミズムだろう!

まるで植物学の学術書の味わいである。
本屋さんでちょっと立ち読みした人は
すぐに書棚に戻してしまうかも知れない。
しかし、あのレオーニが仕掛けた本である。
退屈なんかさせないのだ。
時空のあわいに棲み、
われらの知覚を退ける植物群、
それこそが「平行植物」なのだ。
植物学の歴史から掘り起こし、
架空の植物群の生態を暴き出す本書こそ、
現代のわれわれが忘れて久しい、
「遊び」の本質に迫るものなのだ!
ほら、きみの隣にも平行植物が・・・。

田村京子先生は、
1982年、鮭鱒事業母船・明洋丸の船医となった。。
漁業界空前絶後(だと思う)の女性船医の誕生である。
どういうわけか、船酔いにもヘッチャラで、
肩ふりしながら、気取らず、陽気に厳寒の北氷洋を
渡り歩いてしまうのだ。
その行動は、まさに破天荒!
アメリカ、ソ連の監視官を説得して、北氷洋で釣りを
してみたり、ピンポン外交で活躍したり、
まさに鬼をも恐れぬ大活躍である(笑)
でもそれでいて北洋漁業の現実に思いを馳せたり、
その厳しさを噛みしめてもいるのだ。
本書は、まさに超一級のドキュメンタリーである。
笑うもよし、泣くもよし、感動するもよし。
そうそう先生は、その後捕鯨船団の船医もやっています。
「捕鯨船団 女ドクター南氷洋を行く」集英社文庫、も
是非、読んでください♪

炎の蜃気楼は、1990年から
コバルト文庫で発刊された40巻に及ぶ
サイキック・アクション超大作です!
と、やけくそな紹介をしてしまいましたが、
戦国時代の武将たちが、怨将となって蘇り、
現代に戦国時代を再現しようとする(闇戦国)。
そして怨将に立ち向かうのは、
われらが上杉夜叉衆の面々なのだっ!
主人公は、
上杉謙信の養子三郎景虎が換生した、仰木高耶。
そして景虎に心身(!)を捧げる家臣(逆臣?)、直江信綱。
あぁ、なんか書いてて空しい・・・。
ま、暇とお小遣いのある方は、是非ご一読。
これでミラジェンヌの仲間入りよん♪

実は本当に読んで欲しいのは「続」の方なのだ。
でも順番が大事なのさ。
いきなりぢゃ過激に受け止めかねないからね。
それは「性差別は文化の基盤である」
と題されたエッセイである。
誤解を招くことを承知で簡単に書こう。
現代社会で女性が選ぶことが可能な道は3つしかない。
1.「妻」という名のオブラートにくるまれた娼婦になる
2.性を商品化したあからさまな娼婦になる
3.性的自由を追求する=無料(タダ)でやらせる娼婦になる
さぁ、あなたはどの道を選ぶのだろう。
もちろん新しい選択肢を生み出すために、
社会を変革することだって可能かも知れない。
まずは読んでから。そして考えてみよう。

こんな探偵小説家は知らないよ、
って作家ばかりである。
もちろん昭和の前半に活躍した作家なのだから
当然ではある。
ちょっと冷静に考えてみれば、
毒にも薬にもならない探偵小説の辿る運命なんて
そんなものかも知れないね。
だから再発見と言うことにしておこう。
自分だけが知っている秘密の花園のように
耽美で妖しい世界がそこにはある。
ん? ひとに教えてやりたくなったって?
やめときやめとき(笑)
秘密はひとりぢめするのが快感なんだよ。